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概要

igakukai

?消化器癌に対する最新の外科治療山梨大学医学部外科学講座第一教室教授市川大輔近年、癌診療におけるEvidence based Medicineの考えが定着し、様々な癌種において診療・治療ガイドラインが作成されている。消化器外科領域では、高度進行癌に対する拡大手術について、多数の多施設ランダム化比較試験が行われ、その殆どで拡大手術の予後改善効果が否定される一方で、術前・術後の補助化学療法による治療成績の向上が報告されている。また、早期発見された症例については、根治性は当然のことながら、患者のQuality of life(QOL)も重視した腹腔鏡手術が盛んに行われ、最近では更に機能を温存する新たな手術術式も試みられている。これら腹腔鏡手術に関しては、本年4月より、消化器外科領域でも新たに5術式についてロボット支援下腹腔鏡手術が保険承認されるなど、外科治療が大きな変革の時を迎えている。医療安全の面では、これら高難度新規医療技術の実施に際しては、その適否について各施設内で検討するプロセスなど、基本的な考え方が示され、特定機能病院における承認要件として義務付けられた。一方で、通常の外科手術症例においても、社会の高齢化に伴う高齢の癌患者の増加や、肥満や併存疾患を有する患者の増加など、難易度の高い手術を行う機会も増えてきた。術後の感染性合併症が、患者予後の短期成績のみならず長期予後にも影響を及ぼすとの報告もあり、これまで以上に安全かつ確実な手術が望まれる時代となっている。医療技術評価についても、これまでの大規模病院やエキスパートを中心に行われてきた臨床試験の結果だけでなく、National Clinical Database等のビッグデータを用いたReal World Dataの重要性も認識され出した。これら最近の消化器癌に対する外科治療の話題について、胃癌外科診療を中心に概説する。市川大輔先生ご略歴1990年3月京都府立医科大学医学部医学科卒業1994年4月京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程入学1998年3月京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程修了学位取得:博士(医学)1990年5月京都府立医科大学附属病院研修医1992年4月済生会京都府病院外科医員1996年4月米国ワシントン大学Pathobiology教室研究員1998年4月京都府立医科大学附属病院修練医1998年11月京都きづ川病院外科医員1999年1月京都府立医科大学附属病院修練医1999年4月?京都第一赤十字病院外科医長2002年8月京都府立医科大学消化器外科教室助手2003年4月京都府立医科大学大学院医学研究科消化器外科教室助手2011年4月京都府立医科大学大学院医学研究科消化器外科教室講師2015年9月京都府立医科大学大学院医学研究科消化器外科教室准教授2017年3月山梨大学大学院総合研究部医学域臨床医学系外科学講座第一教室教授―12―